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ベトナムを取り巻く物流事情

ベトナムの製造業や小売・卸売業への投資が増加する中、ベトナムとのクロスボーダー・国内ともに「物流」がさらなる重要性を増しています。ここではベトナムの物流の現状についてみていきましょう。

ベトナム物流リードタイムマップ

恵まれた地理的優位性 ASEAN内関税撤廃も影響

ベトナムはインドシナ半島に位置し、東岸が太平洋に面しています。生産拠点や消費市場としても注目を浴びるCLMV諸国(カンボジア・ラオス・ミャンマー・ベトナム)の中で、太平洋側に深水港をもつ唯一の国です。また、中国と東南アジア諸国の中間に位置しているため、陸路でもその中心的な役割を果たす物流のかなめともいえるロケーションを有しています。ハノイはASEAN+中国の中継地として、ホーチミン市はASEANの物流の中心都市となるでしょう。

また、2010年から実施されてきた先進ASEAN諸国(ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ)での関税撤廃に加えて、2018年1月1日にCLMV諸国の除外品目以外の関税撤廃猶予品目を対象に追加的関税撤廃が実施されました。これにより、関税撤廃率はCLMV諸国平均で98.1%に達しています(※)。今後ますますベトナムのクロスボーダーや国内の物流需要が増していくことは間違いありません。

※参考:ジェトロウェブサイト

現地調達率36.3% 物流円滑化が事業運営のカギ

ベトナムに拠点を構える企業の原材料や部品などの調達先を見てみると、現地調達は36.3%で、63.7%は日本や中国、ASEAN諸国などベトナム国外からの調達に依存しています。各企業は現地調達率を上げる改善を進めていますが、現時点では国外からの調達に大きく依存している企業が多いといえます。

そのため、原材料や部品を適切かつ迅速に運ぶための物流をどう確保するかが、現地で展開する製造業企業にとって、事業運営を円滑に進めるカギになるといえるでしょう。

空運:航空物流のゲートウェイ、ハノイ・ホーチミン・ダナン

国外からの航空貨物が出入りする国際空港は、ハノイ・ノイバイ空港とホーチミン・タンソンニャット空港、そしてダナン国際空港の3ヶ所となります。

いまではベトナム各地にローカル空港が開かれており、国際線旅客便も飛んでいますが、航空貨物用コンテナ(ULD)の輸送に対応できるワイドボディ機の乗り入れに関しては、前述の3空港のみとなっています。また、現時点のダナン国際空港でのワイドボディ機のフライトは、韓国・ソウル便(毎日)とカタール・ドーハ便(週3便)の2路線のみです。しかし、ダナンからハノイやホーチミンへベトナム航空の国内線で輸送して、その後、他国へのベトナム航空国際線に接続するサービスが提供されていますので、ダナンの輸出入についてもあまり心配する必要はなさそうです。

一方で、近年物流需要が高まるがゆえの課題もあります。ベトナムは、アジア域内のフライトが多く大型機材の就航も少ないため貨物スペースが少なく、近年の貨物量の増加によりターミナルが手狭となっていることにより、荷役の遅延が起きやすい状況にあるともいえます。そういった点は注目を浴びるがゆえのベトナムの抱える課題とも言えます。しかし、ベトナム政府は新空港の開設や貨物ターミナルの増床など空港インフラの整備を計画しており、今後の改善を期待したいところです。

また、ホーチミン市・タンソンニャット空港は市内中心部から7〜8kmと便利な距離にあるのですが、空港を含むホーチミン市内エリアは、最大積載量2.5トン以上の大型トラックは朝6時から夜10時まで乗り入れが不可という規制があるため要注意です。

海運:海運物流のゲートウェイ 港湾施設の拡張が続く

ベトナムの貿易港といえば、北はハイフォン、南はホーチミンという港がそれぞれ代表的な貿易港として使われてきました。貿易量が増え、ベトナムを出入りするコンテナ船の大型化が図られるに連れて、深水港の充実が求められることとなりました。今では、最大10万トン級のコンテナ船が入れる港が南北それぞれに整備されています。

北部の港湾

北部の代表的な港湾としてハイフォン港(既存河川港)、ラックフェン港(河口深水港)があります。ハイフォン港の取り扱い許容量が限界に達しており、コンテナのハンドリングに遅延が生じていたため、状況の打破を目指し、2018年5月ラックフェン港が開港しました。

ハイフォン港 [貨物港湾]

北部最大の商業港であるにもかかわらず、河川港で航路水深が4.3~7.3mと浅く大型船が入港できず、積載量2,000TEUまでのコンテナ船が限界となっている。また、ハイフォン市内に時間帯や地域によって交通規制が敷かれ、トレーラーの乗り入れができないことがある。ハイフォンには小さな港が複数あり、税関と港の配置が複雑になっている。

ラックフェン港 [貨物港湾]

今後も増加が見込まれるコンテナ貨物に対応するため、2018年5月に開港。水深は14mで、5〜10万トンクラス(14,000TEUまで)の大型船の寄港が可能。北部の深水港として、北米・欧州向け貨物の輸送日数短縮とコスト削減が期待される。例えば、従来ならアメリカ東部まで32日〜35日、アメリカ北部まで19日〜22日かかっていたものが、それぞれ27日〜30日、14日〜17日とリードタイムを5日間短縮可能となった。

南部の港湾

上空から見たサイゴン川。かなりの数のコンテナ船が桟橋に着岸出来ず、「沖」で待たされている様子がわかる。

ホーチミン港は、ホーチミン市内を流れるサイゴン川、ドンナイ川、ニャベ川、ソアイラップ川、ロンタウ川の河岸に設置された多数の港があります。公共貨物を取り扱う代表的な港は、VICT、カトライ港。このほか、ソアイラップ川下流の河岸のヒエップフォックに2009年10月供用開始のコンテナターミナル・SPCTがあります。取り扱い貨物量増大による処理能力の不足や荷役の遅延が問題となり、カイメップ港が新たに設けられました。

カトライ港 [貨物港湾]

ドンナイ川沿いに位置する河川港。ホーチミン市内(行政区は2区)にあり利便性が高いため、多くの企業が使用している国内最大規模の港。市内に工場を構えるEPE企業にとっては、同じ市内で通関処理ができる。ただし、カトライ港の慢性的な混雑により周辺道路で厳しい渋滞が起こっている。

カイメップ港 [貨物港湾]

河川港であるホーチミン港への依存を避け、大水深を確保するため、ホーチミン市街から離れたバリア・ブンタウ省の海の近くに建設された深水港。北米・欧州への直行便が寄港できる。道路網の混雑を避けるために、ここでバージ船に載せ替えて、工場により近い小さな河川港まで運ぶといった運送も行われている。

VICT [貨物港湾]

ベトナムインターナショナルコンテナターミナル(VICT)はサイゴン川沿い、2区対岸のタントゥアンドン地区に開かれたベトナムで最初に作られたコンテナ専用ターミナル。もともとはVICTは「サイゴン港ターミナル」の一部。VICTの西側にはニャロン、カインホイと呼ばれる2地区の岸壁があり雑貨、ドライバルクを扱っている。

陸運:陸路による国内輸送 南北2都市間は1,700km

首都・ハノイ〜南部の商業都市・ホーチミン市の距離はおよそ1700kmあります。高速道路網の発達が十分でなく、貨物輸送を担うトラックは一般道路を走らなくてはなりません。輸送にかかる所要時間は南北ルートのトラック輸送で3日~4日が見込まれています。

また、両都市を結ぶ鉄道もありますが、軌間(レール幅)が1000mmと、日本の在来線よりも狭い線路のため荷物の大量輸送などに適していません。そのため大型もしくは大量の貨物は船舶で、急ぎの貨物は航空機でそれぞれ運ぶことになります。なお、航空機はハノイ〜ホーチミン間で毎日ワイドボディ機での運航があるため円滑な輸送が可能です。

また、ハノイやホーチミン市での市内通行には規制があるため注意が必要です。ハノイでは最大積載量1.25トン以上のトラックは基本的に朝6時から夜9時まで、市内中心部やロンビエン区の一部の通行が禁止されています。ホーチミン市では前述したとおり、最大積載量2.5トン以上の大型トラックは朝6時から夜10時まで空港を含むホーチミン市内エリアへの乗り入れが不可となっています。

近年は渋滞が多く発生するようになり、物流の悩みどころの一つとなっています。しかし、渋滞の緩和に向けて、ベトナム政府により高速道路やバイパスの整備が押し進められています。

例えば、フエ〜ダナン間のハイヴァントンネル(片側1車線)が日本のODA事業として2005年に完成したことで、南北の道路交通のボトムネックが大幅に改善されました。また、2015年12月には、ハノイ市環状道路3号線から紅河デルタ地方ハイフォン市ディンブー港までを結ぶハノイ~ハイフォン間高速道路が全線開通となりました。南部のホーチミン〜ドンナイ省間、ホーチミン〜ロンタン〜カイメップ港間の高速道路も比較的安定して利用できているようです。

陸路クロスボーダー輸送 航空便より安く船便より早い

ベトナムは北側が中国、西側がラオス、南西部がカンボジアとそれぞれ国境で接しています。在越日系企業は日本や中国、香港などとの物資のやり取りは主に海上ルートを選択しているようですが、他国の外資企業は陸路クロスボーダーも併用しているようです。

ベトナム-中国

ベトナムと中国の陸路国境は全部で3ヶ所あります。ベトナムとの物資の輸出入で多用されているのは「友誼関」を通るルートです。

鉄道はベトナム側線路の軌間が元々1000mmしかないため、標準軌(レール幅1435mm)で走っている中国の貨車がそのまま乗り入れできません。そこで、ハノイ郊外のザーラム駅まで既存線路に加えて標準軌用のレールを敷き、輸送の増強を目指しています。しかし現状は「鉄道は定期的に運行していないので、貨物輸送のスケジュールに組み込めない」というのが実情のようです。

なお、トラック輸送での所要時間は、ハノイ〜広西荘族自治区の中心都市・南寧~深センまでで約3日です。

ベトナム-タイ

ベトナムとタイとは直接国境で接していませんが、バンコクや日系メーカーが集まるアユタヤ方面との物流需要があるため、迅速かつ確実な輸送手段が求められています。大きく分けて、ベトナム〜タイ間の陸路ルートは次の3つがあります。

①国道9号線経由ルート

ベトナム各地〜ラオバオ・デンサバン国境検問所(ベトナム/ラオス)〜サバンナケット・ムクダハン(ラオス/タイ)〜タイ各地

「東西回廊陸路ルート」と呼ばれているルートです。国道9号線を経由、ラオスを横断、メコン川を渡ってタイに繋がるルートです。ハノイ〜バンコク間の所要時間は3~4日ほどで、日系物流会社が定期の混載便も運行しています。船便ほどの量は運べませんが、陸路の方が6~10日ほどリードタイムが短いこともあり、近年需要が高まっています。

②国道12号線経由ルート

ベトナム各地〜カウチェオ国境検問所(ベトナム/ラオス)〜ラークサオ〜第3タイ=ラオス友好橋(ラオス/タイ)〜ナコーンパノム〜タイ各地

中国とタイを結ぶトラックが、ベトナム〜ラオスの部分で9号線ルートより半日ほど短縮できるとあって、主に中国系の輸送会社が利用しているようです。ただし、道路状況が悪く、途中未舗装区間がある、車線が狭まっていて、ガードレールがない場所もあるなど「危険を伴うルート」といえましょう。

③カンボジア経由ルート

ベトナム各地〜タイニン省・モクバイ国境検問所(ベトナム/カンボジア)〜プノンペン〜ポイペト・アランヤプラテート国境検問所(カンボジア/タイ)〜タイ各地

「南部回廊陸路ルート」の名で呼ばれているルートで、所要時間は概ね4日ほどでホーチミン〜バンコク間をつなぎます。途中、カンボジア領内で同国の国道1号線上のメコン川に架けられ、日本のODAで建設された「つばさ橋」を経由します。現時点では、リードタイムは陸路の方がやや短いのですが、コストパフォーマンスの点で船便を選択することも多々あります。

▶次は:製造業におけるベトナム人ワーカーの採用や人員調整


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