ベトナムの輸出加工企業(EPE)とは?

ベトナムには輸出加工企業(EPE=Export Processing Enterprises)と呼ばれる加工貿易に適したスキームがあります。製品の全量輸出を前提に、輸入関税や付加価値税(VAT)なしに原材料や部品が輸入できる、いわば保税工場に当たるもので、法人税の優遇措置もあります。

EPEに関する法律上の定義とは

EPEの法律上の定義は「輸出加工区内に設立、操業する企業」、もしくは「工業団地や経済区内で、輸出向け生産活動を行い、全製品の税関申告が必要な企業(政令82/2018/ND-CP号)」となっています。

EPEに入るものはすべて輸入、作ったものは全て輸出という扱いになるほか、物品の移動には通関が必要、輸入関税やVATは免除となります。

EPEは輸入関税およびVATが免除されるほか、スムーズな通関手続きができます。ベトナムにありながら税法上は「外国企業」と同じ格好になっていると考えるとわかりやすいかもしれません。

EPEが受けられる税法上のメリット

EPEに対して、「輸出関税が免税」あるいは「輸入関税とVATが共に免税」という特典がそれぞれ存在します。詳しくは次ページの図を参照してみてください。

EPEへの税関による調査では、在庫数などについて厳しく調査される傾向があるようです。実際の在庫と通関済み在庫の差異がある場合は、税関は「差異分はベトナム国内企業に販売したもの」と見なし、追徴課税に遭う可能性があります。

EPEが得られる「スムーズな通関特典」

前述の通り、EPEは製品の全量輸出が前提となっている企業なので、「国外企業への販売」の際の通関は比較的スムーズな手続きで終了します。また、一部の取引は通関手続きが不要になっています。

また、EPEは毎月のVAT申告が免除されています。

①輸出入品に対する検査が免除されるケース

違反の兆候が無いという前提で、検査が免除。税関への報告手続きが終わり次第、即時通関が可能に。
・ 国外からEPE向けに輸入された物品。
・ EPEから国外へ輸出される物品。

②通関が免除されるケース

・ 同一EPZ内でのEPE間の取引。
・ EPZは異なるものの、EPEとの売買取引でその相手が自社のグループ会社である場合。
・ ベトナム国内にある同一企業もしくは企業グループ内のEPEとの取引の場合。
・ EPEから、修理、分類、梱包(再梱包含む)のために納品された物品の輸出入の場合。

EPEによる商品販売 取り組みへの可能性

EPE自身が自社商品をベトナム国内で販売する場合は、「国外企業扱いのEPEから国内向け販社へ一旦、商品の輸出を図らねばならない」という煩雑な手続きがあります。

仮にベトナム国内に販売する場合、買い手側が通関手続きを行い、かつ関税の支払いが求められます。したがって、進出後の早い機会に国内販売に踏み切る計画がある場合、EPE設立が適切かどうかをしっかりと検討する必要があります。

EPEステイタスのある会社が販売に取り組むとなると、以下のような問題が起こって来ます。

・販売にかかる費用や売り上げは、EPEで定義されている他の事業(加工貿易など)と分けて計上しなくてはならない。
・販売用製品は「製造に使う材料などと区別して保管」しなければならない。
・販売ライセンスに基づく商品をベトナム国内企業に販売する際、VATインボイスを発行した上でVAT申告も必要となる。

現実的には、販売会社を別途設立し、そこが仕入れと販売に関わる業務を引き受けるという格好で取り組むことになります。実際にそのような別法人を設立して、国内販売に乗り出している企業も存在しますが、業種によっては内販への取り組みそのものができない場合もあります。

EPEからの企業ステイタスの変更

EPEを非EPEへ、あるいは非EPEをEPEへ変更することは規定上可能となっていますが、実際にそのような手続きを行ったケースはほとんどありません。なぜなら、ステイタスの変更を進めるに当たり、税関による詳細調査のため、長期にわたって生産停止を命じられる可能性が高いためです。

現状の規定では、非EPEでも税務上のメリットを受けられることになっているため、ベトナム進出後に国内販売や商品の輸入販売を手掛けるオプションを検討している場合は、EPEを選択しないほうが良いという結果になり得ます。
非EPEでも得られる税務上のメリットとしては「輸出用製品に使用される原材料の輸入にかかる関税は、設立初年度より免税」というものがあります。

▶次は:ベトナムを取り巻く物流事情

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