世界の注目を浴びるベトナム|JETRO北川浩伸理事インタビュー

各国企業によるベトナムへの投資が急激に増えています。日本からの投資も増える中、現地ではどんなことが起こっているのでしょうか―。ベトナムを含む東南アジア事情に詳しいJETRO北川浩伸理事にお話を伺いました。
取材:2019年11月


日本貿易振興機構(JETRO) 北川浩伸 理事|1989年日本貿易振興会(当時)入会。ロンドンセンター、総務部総務課長、サービス産業部長、ハノイ事務所長などを経て現職。2019年10月ベトナム政府より「ベトナムの投資計画事業への貢献」に対し表彰を受ける。NHK「NHKスペシャル」、「クローズアップ現代」などTV番組での解説、京都大学、ベトナム・貿易大学、ホーチミン政治学院など大学等で講演多数。慶應義塾大学大学院商学研究科博士後期課程単位満期取得退学。長崎県公立大学法人連携教授。日越大学 前理事。サービス学会 元代議員。

世界の注目を浴びるベトナムへの投資環境

編集部:ベトナムが世界から注目を浴びています。各国による投資はどんな状況なのでしょうか?

北川理事:ベトナムへの対内直接投資が今、非常に増えています。世界全体からの投資件数からみても、昨年は過去最高を更新しました。そうした事実からみてもベトナムへの投資は注目度が極めて高いものになっています。海外からの投資は日本も主たるプレイヤーですが、韓国とか台湾、あるいは欧米といったように、世界中の企業がベトナムへの関心を持っていると言えます。特に昨年はそういう傾向が最も高かったと言えると思います。

もっとも投資件数と投資額とは別に考えたほうが良いのかもしれません。投資額は1つ大型案件があればグンと伸びます。日本の企業にとって、ベトナムというのは非常に有益な市場になっていると感じます。

近年の社会インフラの向上も外資を引きつける一つの理由となっている(ハノイ・ニャッタン橋)

編集部:では、日本からの投資はどのように推移していますか?

北川理事:日本からの新規投資件数をみると、10年くらい前に比べ傾向が相当変わっています。7~8年前までは製造業は50%以上を占めていたのですが、一昨年以降は製造業の割合が全体の4分の1程度となっています。

とはいえ、製造業は引き続き重要なプレイヤーです。例えば、ベトナム日本商工会議所には約720社の会員がいますが、うち340は工業部会に所属、つまりモノ作りの会社が半数近くに達するというわけです。ベトナムで活動されている会社はどこも好調のようですので、やはり、ベトナムでさらに業務拡張を図りたいという考えを持つ会社が多いといえます。

言うまでもなく製造業は付加価値その他で非常に有力なプレイヤーですが、件数のみで比較するとむしろ非製造業の活躍が顕著になってきています。そうしたベトナムに進出される非製造業の皆さんのバラエティが富んでいて、小売業やIT関連もあります。件数としては多くないですが教育業もあり、多様な業種・業態の進出が増えているというのが最近の特徴といえます。

編集部:それほどまでに日本の企業家たちに「ベトナムが注目される理由」はどんなところにあるとお考えですか?

北川理事:ベトナムはかつて、安い人件費を求めて製造拠点を設立するという形式が多かったと思います。10年前あるいはそれ以前と比較すると、ベトナムへの対内投資は「様相が変化した」ということを認識しておかねばならないのではないでしょうか。

編集部:既にベトナムに進出している日系企業が検討している「トレンド」はどんな方向に向かっていると思われますか?

北川理事:ジェトロが毎年調査している「進出日系企業実態調査」でも「これからベトナムビジネスをどう展開したいか?」という問いに対し、約70%の企業が「拡張したい」といった回答をしています。これはもちろん製造業だけには限りませんが、いずれにしても進出している企業にとって「ベトナム市場は非常に重要である」ということだと思います。

製造拠点を開く目的で進出して来たものの、「ベトナム国内で販売できないか?」と考える企業も増えてきています。それに取り組むには様々な仕組みを変える必要もありますが、「内販してみよう」という希望を持つ企業が多いのは事実です。

例えば、マーケティングに関するセミナーを実施すると、やはりたくさんの人が集まります。皆さん、将来どうすべきかを考えながら日々、企業活動をしておられるのではないでしょうか。目下のところ、多くのメーカーが部品等を輸入して、組み立て後に輸出をするという形での事業をされていますが、私は今後、こうした企業が徐々に次のステップに入っていくと期待しています。こうした企業の方々の多くは「ベトナムとともに成長ができればいいな」と考えているのではないかと、私は考えています。

▶次は:ベトナム市場へ「内販」に挑む流れ

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