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【ベトナムのシン層 | Vol.10】神の使いハヌマーン・ラングール 生後間もない2頭、ニンビン省で保護

本記事は、ベトナムやベトナム人に起こる出来事を多彩に切り取り、解説するコーナーです。

ベトナム北部紅河デルタ地帯のニンビン省でサルの一種であるラングール2頭が保護されて専門家の手で育てられている。地元メディアが11月19日に伝えたところによると、ラングール2頭はいずれも生後4、5カ月の赤ちゃん。北中部タインホア省ランチャン地区で地元の男性が発見して、現地森林保護局からニンビン省クックフォン国立公園に引き渡されて現在は手厚い保護を受けて育てられているという。

東南アジアは動植物の宝庫で絶滅の危機に瀕した種も多く、開発と保護の板挟みになっているケースも絶えない。インドネシアには人間に最も近いとされる類人猿オランウータンが生息、保護されているがその生息域は開発や森林火災で年々狭められている。
ベトナムにはベトナム・ラングールと呼ばれる霊長類オナガザル科の一種でその生息数は約200頭ともいわれる絶滅の危機に瀕した希少種のサルが存在する。

今回保護されたラングールはインド映画の近年の名画とされる「バジュランギおじさんと小さな迷子」(2015年)の中でサルマン・カーン演じる主人公がヒンズー教のハヌマーン神の熱烈な信者として描かれているそのサルと同じである。ハヌマーンはインド神話に登場する神猿で信仰の対象とされている。

インドネシアの国章でもありガルーダ航空のシンボルでもある「ガルーダ」は伝説上の神鷲とされるなど、伝説上や神話上の動物が現代社会にも根付いているところは興味深いものがある。日本では八岐大蛇や河童、竜、鳳凰などがそれにあたるといえるだろう。

ベトナムにはラングールの他にも「幻の動物」といわれる「サオラ」が生息している。ウシ科のベトナム・レイヨウとも呼ばれる2つの長く美しい角を持つサオラは1998年以来15年ぶりとなる2015年にその姿が撮影されたというほどの希少動物で、生息数はベトナムとラオスのジャングルに数十から数百頭といわれている。

今回保護されたラングールは2頭ともにオスで体重は各1キロ前後、体毛は灰色。国立公園内の霊長類救助センターで男女7人の専門スタッフが現在2頭の世話をしている。
2頭はベトナムでは一般的に信仰の対象とはされていないものの、オスの生体であることから将来的に繁殖や遺伝子研究を通じた個体の保護に役立つ可能性があるとして大きな期待が寄せられている。

執筆者:大塚智彦(フリーランス)
1957年生、毎日新聞ジャカルタ支局長、産経新聞ジャカルタ支局長などを経て2016年からフリーに。月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などに東洋アジア情勢を執筆。

写真:baotonthiennhien.thainguyen.vn
※本コラムは、筆者の個人的見解を示すものであり、週刊ベッターの公式見解を反映しているものではありません。

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