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【第15回】弁護士が解説する【失敗しないベトナム不動産投資】 外国人がベトナムの不動産を開発・購入・賃借・利用する際に知っておきたい基礎知識〜ベトナム土地法入門〜

2006年に初めて不動産事業法が整備され、外国人によるベトナムにおける不動産投資分野への進出に関する法制度が明確化されました。2006年以前にも不動産投資案件は複数ありましたが、いずれも特別な承認を得ることによりベトナムに進出したケースでした。2007年7月1日にベトナムで最初の不動産事業法(63/2006/QH11号)が施行されて以降、外国からのベトナムへの不動産分野の投資額が急速に増加しています。

2008年には、世界経済の影響を受けていたものの、ベトナムへの海外直接投資(FDI)の登録金額が717億ドルに至り、2007年の3.4倍に増加しました(2013年9月の建設省による不動産事業法の改正に関する提案報告書)。そのうち、不動産分野への投資額は236億ドルでした。これ以降も、ベトナムにおける不動産分野への投資が活発化しています。2018年12月においてFDI総額のうち、不動産事業への投資額は第2位であり、2020年12月には第3位となっています(順位は、第1位:製造・加工、第2位:電力、第3位:不動産)。

編集部
ベトナムが政治的に安定しており、経済成長率が高く、かつ、投資環境の改善を不断に行っている等の理由から、日本の投資家は、ベトナムでの不動産市場に強い関心を持っており、コロナと関係なく、投資が加速している状況ですね。ただ、ベトナムの土地に関する制度が様々な規制があることで、それは、大きな壁ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
弁護士
ベトナムへの不動産投資を検討されている外国人投資家は、「ベトナムでの土地は、全国民の所有に属し、国家が所有者の代表としてそれを統一して管理されるため、土地使用者は、土地の使用権しか有せず、様々な制限がある。」ということを最初に知ることになります。確かに、この情報自体は一面では正しいのですが、不正確とも言え、ベトナムの不動産制度や市場についての理解が不十分な初心者は、その本当の意味を誤解してしまいます。
弁護士
ベトナムでは、土地の所有権を取得することはできず、土地の使用者は、土地に対して使用権しか有していません。しかし、その使用権の内訳は、実は所有権に近いものと言えます。第三者に対して対抗することができる登録制度もあり、権利として安全に確保し、活用することができ、当該使用権の一般的な処分(譲渡、売却等)も行うことができます。特に、外国人投資家に対しては、国内の法令のみならず、国際条約などでもベトナムでの投資に関する財産権(不動産を含む)が保護されるため、「使用権」しかないということを、それほど心配する必要はないとも言えます。
弁護士
ただし、ベトナムでは、不動産、とりわけ土地に関する法律や制度がかなり複雑であり、かつ、政策や運用、法の規定が頻繁に変更、修正されています。そのため、外国人や外国人投資家にとっては、これらを正確かつ適時に理解することは、それほど簡単ではありません。
編集部
なるほど、確かに言葉だけなら誤解しやすいですね。ただし、おっしゃるように、ベトナムの土地制度、不動産制度を十分に理解するためには、なかなか難しいのではないかと思います。そのような状況で外国人は、どうすればベトナムでの不動産への投資や、取得を安全に行うことができますか。
弁護士
日本人の個人や投資家の中には、こうしたベトナム不動産制度・規制の複雑さを回避するために、不動産投資にあたって、様々な関係で知り合ったベトナム人の名義を借りて不動産を購入するなどの方法で、不動産投資をするケースも見受けられます。しかし、このようなベトナム人の名義借りによる不動産投資は、そのベトナム人との信頼関係が維持され、連絡が密になされることを前提としているところ、この点でトラブルを誘発し、結果として不動産投資が失敗に終わるケースは、非常に多くみられるところです。
弁護士
このように考えると、外国人(日本人)がベトナム不動産投資に失敗する原因は、そもそも土地に対する所有権があるかどうかということではなく、実際に不動産投資や取引を行うにあたっての検討不足や、通常のビジネスルートを利用しない不適切な形態を選択することにあると言えます。
そのため、ベトナムでの不動産取引や投資を失敗しないためには、必ず以下の対策を十分に実施するようにお勧めいたします。

  • ベトナム不動産投資を検討する場合は、まず不動産の制度や法律、及び不動産市場や取引慣行等について、正しい情報を総合的に知るために、専門家に確認すること
  • 知り合いのベトナム人やパートナーから受領した情報について、必ず専門家へダブルチェックを行い、真偽や正確性を確認すること
  • 不動産の投資や購入を決める際に、重要な事項のみでも良いので、法的なリスクのチェック(法務デューデリジェンス)や価値評価を行うこと
  • 不動産の投資や購入の前に、必ず物件や土地を現地で確認すること(現地を訪問できない場合は、信頼できる専門家に依頼することも可能です)
編集部
それは、そうですね。もう一つ伺いたいのは、外国人がベトナムでの土地使用権を取得するために、どのような方法がありますでしょうか。
弁護士
国から土地使用権を取得する方法には、①土地使用権の割当、②土地使用権のリース、及び③土地使用権の公認の3つがあります(下記の図をご参照下さい)。もっとも、このうち「③土地使用権の公認」は、外国投資家は対象外のため、以下は、ベトナムに不動産投資をしようとする外国人投資家の皆様が利用可能な、①及び②の方法のみをご説明したいと思います。

国は、土地使用者に対して、有償又は無償で土地の使用権を割り当てています。そのうち、無償での土地使用権割当は、ベトナム国民・世帯、ベトナムの企業・組織のみに対して行われ、外国人や外国企業は割当を受けることができません。外国人や外国企業が株主となって設置されたベトナム企業(外資企業)は、販売若しくは販売兼賃貸を目的とする住宅・マンション開発プロジェクトを実施する目的で、ベトナムから有償での土地使用権の割当を受けることができます。

弁護士
土地使用権のリースは、上記の図のとおり、①賃料一括払いによる土地使用権のリース、②賃料年次払いによる土地使用権のリースの2種類があります。ところで、賃料一括払いによる土地使用権の賃借者の権利と、賃料年次払いによる土地使用権の賃借者の権利は大きく異なっていますので、注意が必要です。賃料一括払いに伴う土地使用権の賃借者は、土地使用権及び土地上の財産の両方に対して、譲渡、リース、サブリース、抵当権の設定、現物出資を行うことができますが、賃料年次払いによる土地使用権の賃借者は、基本的に土地上の財産のみに対して売却、抵当権の設定、現物出資を行うことができ、土地使用権については原則として、取引の対象とすることができません。ただし、工業団地での賃料年次払いによる土地使用権のリースの場合を除きます。

編集部
ありがとうございます。最後に、外国人がベトナムの不動産(土地、建物)を「開発」、「購入」、「賃借」、「利用」する際に知っておいた方がいいベトナムの土地制度に関する他の特徴がございますでしょうか。
弁護士
まとめますと、以下の4つの特徴があります。
1. 土地は、全国民の所有に属し、国家が所有者の代表として統一してこれを管理すること
2. 土地の使用は、必ず国が公布する土地使用企画に適合する必要があること
3. 土地使用権の登記制度は存在しているが、公開されていないこと
4. 国家の裁量で、国民から土地の使用権を回収することができること
弁護士
  • 1について、先ほど説明した通りです。
  • 2については、土地の潜在力及び各産業・分野の土地使用の需要に基づき、経済・社会発展、国防、治安、環境保護及び気候変動に対応する目的を達成するために、土地使用企画やその企画を実施するための土地使用計画を作っています。ベトナムでの土地の使用は、必ず国が公布する土地使用企画に適合する必要があります。土地使用企画、土地使用計画に適合しない土地の使用に対しては、行政罰の罰金の賦課や設物に対する工事の施工停止・撤去・使用禁止若しくは土地使用権の回収といったリスクが発生する可能性があります。
弁護士
  • 3については、ベトナムでの不動産登記制度は、あくまで国家の行政的な管理目的のために行われており、公開化、透明化といった登記制度の目的について重視されておりません。したがって、登記制度はあるものの、不動産の登記データベースは土地管理機関しかアクセスすることができず、誰もが登記データを確認できる制度になっていません。不動産の登記情報を確認するために、個別に不動産登記事務所に情報開示の申請を行う必要があります。しかし、場合により、不動産登記事務所が情報の開示を拒否することも多くあります。不動産登記情報の開示請求について問題が生じた際は、専門化にご相談されることをお勧めいたします。
  • 4に関しては、土地の使用者に対してかなり不利なものですが、土地を回収される際に、回収の理由や厳格な手続きを行う必要がありますので、万が一土地を回収される場合、土地の使用者としての権利を保護するために、十分な賠償等を行いますので、ある程度安心できると思います。
編集部
ありがとうございました。

ベトナム明倫国際法律事務所

今回の執筆者

弁護士・調停人 
ブイ・ホン・ズオン(DUONG)
duongbui@meilin-law.jp 
・日経企業への法務サポート経験訳7年間。日本語堪能

ベトナム常駐弁護士
原 智輝(はら ともき)
t-hara@meilin-law.jp 
・日系企業への法務サポート経験2年間、日本語・英語堪能

ホーチミン事務所代表弁護士
盛 一也(もり かずや)
k-mori@meilin-law.jp 
・税務支援経験3年間、日系企業への法務サーポート経験3年間、日本語・英語堪能
ベトナム明倫国際法律事務所とは
ベトナム明倫国際法律事務所は、日本語が堪能なベトナム人弁護士・スタッフ、及び日本人弁護士・スタッフのチーム対応により、法務からビジネス慣習、ベトナム子会社の組織作りやコンプライアンス体制構築など、幅広い業務に、迅速かつ専門的に対応しております。

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