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【ベトナムのシン層 | Vol.2】Covid-19が教えてくれたこと

地域を封鎖してパンデミックを防ぐベトナム人民軍

本記事は、ベトナムやベトナム人に起こる出来事を多彩に切り取り、解説するコーナーです。

デルタ株の出現で印象が薄くなったが、今年5月頃までベトナムのコロナ対策は世界中の賞賛を集めた。アメリカや欧州では毎日数万人単位で感染者が拡大し、数ヶ月後にはインドやインドネシアを筆頭にアジアにも波及した。しかし世界が震撼する中でベトナムは多くても1日10数人、感染者0の日も続いた。一方、日本はアベノマスクに始まり、感染確認アプリ「COCOA」、都知事が唱えた「5つの小」など、およそ効果に疑問を抱く対策が目立ち、解除設定なき緊急事態宣言とその延長に多くの国民が疲弊を強いられた。なぜベトナムのような対策が取れないのか? この差は何か? 日本のコロナ対策にそんな不満を抱かれた方もおられるのではないか?

今となっては初期段階に限定されるかも知れないが、ベトナムの感染防止策が評価された最大の要因は、早い段階で外国からの入国を禁止したことだろう。同時に感染者の社会的隔離と陽性者が出た際の濃厚接触者の割り出し、それに伴う建物や地域の封鎖。成果はそれら防護策の早期徹底にほかならないが、対策を鶴の一声の如くスピーディーに実行できるのは、やはり国家体制によるものが大きいだろう。政党間合意や民間の協力、国民の信を得るのに時間を要する民主主義では余程でないと難しい。社会主義国家は有事に強い。期せずしてベトナムのコロナ対策がそれを証明する形になったように思う。強制力もさることながら、ベトナム国民も政府の対策に同調し積極的に受け入れていた印象もある。

それにしても、今後どうなるかは依然として不透明だ。すでに先進国ではワクチン接種が進んだが、半年で効力を失うとの指摘から追加接種が一般化しつつある。今後は定期的接種が当たり前になるのか? またワクチンパスポートが社会生活で不可欠になるのか? 経済的被害を食い止める手段として、行動制限を緩和するワクチンパスポートは有効と思われるが、多少なりともワクチンの信頼性への疑問も残る。そんな中、世界はウイルス撲滅からウィズコロナへの道に舵を切ろうとしている。ただし中国が今でもゼロコロナ策を推進しているのが気に掛かる。また世界各地でワクチンパスポートに反対するデモも散見され、今後の動向に注目したい。とはいえ、道筋こそ見えていないが、すでに承認待ちの治療薬の報道もあり、収束までそう遠くはないように思う。

パンデミックがリアルな事例となって、世界中の人と社会、経済の繋がりを知らしめた。たとえ感染が収束しても、次には気候変動対策や脱炭素化など世界共通の課題が待っている。ニューノーマルといった言葉が飛び交う中、今後も世界がイデオロギーを越えて一つに繋がれるかが問われるに違いない。そして私たちは世界の問題を真摯に受け止める義務がある。なぜならコロナ禍で亡くなられた人の犠牲のうえに今があるのだから。

執筆者:いちぎ ひでと
フリーランス編集者。東京在住。現在は東京と生まれ故郷の高知を行き来する生活をおくる。パンデミック以前まで定期的にベトナムに訪れ、本紙『週刊ベッター』の制作にも携わる。

写真:Bo Cong Thuong Viet Nam 
※本コラムは、筆者の個人的見解を示すものであり、週刊ベッターの公式見解を反映しているものではありません。

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