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【第7回】ベトナムビジネス契約を締結する際の留意点〜実務運用及び紛争解決方法から見る〜

日系企業が注意すべき点
o 契約書を作成する際には、紛争が生じた場合、相手方に対して請求できるかどうかということに留まらず、ベトナムでの紛争解決制度や実務運用等を十分に考慮しながら、債権等を回収できる方法を想定した上で、その内容を契約に反映する必要があります。
o 契約金が高額でない場合にも、担保設定措置を相手方に求めることをお勧めいたします。

契約には、そもそも①合意内容を明確にし、スキームを履行できること及び②想定できるリスクに対してそのリスクを回避するためのマネジメント対策の設定をするという意義があります。しかしながら、ベトナムビジネスでの契約は、それだけでは十分ではなく、契約に関する紛争を解決する際の実務運用上の問題が多くあります。つまり、契約のみでは、万が一紛争等が発生した際に、債権を確実に回収できるとは限りません。

編集部
最近、特にコロナの影響で、ベトナムでの契約(日本の会社とベトナムの会社との契約も含みます。)について、紛争や不良債権の発生等の事例が耳に入りますが、何か理由があるのでしょうか。
弁護士
おっしゃる通りです。弊所の対応業務においても、紛争解決や債権回収のご依頼が、急増しており、全体の4割程を占めています。その中でも、様々なケースがありますが、①取引先を信頼するから契約書を作成しない、②契約書はあるが、雛形のようなものだけで取引の詳細を組み込んでいない、③契約書があり、債権・債務は明確にされているが、紛争解決方法を十分に整理できていない等といった例があります。
編集部
契約書もあり、紛争解決部分のみ整備できていないことで、紛争解決時に、何か影響を与えるということでしょうか。
弁護士
その通りです。残念ですが、紛争解決制度や実務運用についてベトナム特有の事情等があるからです。例を挙げますと、ベトナムでの裁判の信頼性が高くなく、それにより債務者を含む一般国民の法律厳守意欲が低く、裁判を恐れていないこと。また、単純な民事紛争でも刑事事件になる可能性もあり、裁判よりも警察等を怖がる傾向が多いです。
編集部
そうなんですね。
では、この紛争解決方法の観点から見れば、契約書を作成する際、何に注意すれば良いでしょうか。
弁護士
次の3点に注意すべきです。

  • 第1 【相手方会社の所在地、その会社の所有者・法定代表者の現住所の確保及び確認】
    裁判手続や、仲裁手続を行う際には、原告は、裁判所や仲裁において被告人の正確な所在地、現住所を提出する義務があります。正確な住所ではない場合、呼び出しやその他の通知を権限機関から発送しても、被告まで届きません。

    また、訴訟や仲裁手続前に、交渉や和解を希望する場合、警察に告発し、警察が相手方会社等に訪問することも困難となります。そのため、契約書に記載する相手方会社の所在地、その会社の所有者・法定代表者の現住所が正しいかどうかをチェックし、変更がある際には相手方への通知義務等を設定すべきです。

弁護士
  • 第2 【紛争解決機関】
    先の通りに、残念ながらベトナムでの裁判の信頼性が高くありません。ですので、中立かつ取引の専門知識のある仲裁人を選択できる仲裁という解決方法を選択することをお勧めします。

    仲裁の際は、日本での仲裁、ベトナムでの仲裁若しくはシンガポール等の第三国での仲裁を自由に選択することができます。ただし、ベトナム以外の国における仲裁を選定した場合に、ベトナムの裁判所は、外国仲裁判決の執行を承認しないリスクがあります。
    仲裁の他、今年から裁判所組織に属する対話和解センターが新設されましたので、この和解制度を利用し、裁判官の指導を受けながら、より簡易的に交渉する方法もあります。

弁護士
  • 第3 【刑事事件として取り扱うことができる条項の合意】
    ベトナムのローカル企業の対応例としては、刑事事件として告訴が可能な旨の条項を置くものがあるようです。これについては、そのような契約条項があるからといって刑法等に規定のない債務不払いが犯罪になるわけではないのですが、一般的に裁判よりも警察が動く方に債権不払いの抑止力があると思われているため、このような条項が置かれているように思われます。
編集部
ありがとうございます。かなり工夫する必要がありますね。ただ、これらの条項を定めても、債権者は、本当に弁済能力がない場合は、弁済されないですか?
弁護士
その通りとなります。それを避けるために、上記の条項の他、契約の金額にかかわらず、適用できる担保処置を十分に検討し、設定すべきです。
ベトナム民法改正法(2015)は、以下の担保設置を定めています。
1. 質権(Pledge)
2. 抵当権(Mortgage)
3. 手付(Deposit)
4. 保証金(Security collateral)
5. エスクロー(Escrow deposit)
6. 所有権留保(Title retention)
7. 保証(Guarantee)
8. 信用保証・身元保証(Fidelity guarantees)
9. 留置権(Lien)
上記の内、所有権留保及び留置権は新たにできたものです。またご留意いただきたいのは、担保を設定した際に、第三者への対抗要件を備える必要があります。

編集部
ありがとうございました。

ベトナム明倫国際法律事務所

今回の執筆者

弁護士・調停人 
ブイ・ホン・ズオン(DUONG)
duongbui@meilin-law.jp 
・日経企業への法務サポート経験訳7年間。日本語堪能

ベトナム常駐弁護士
原 智輝(はら ともき)
t-hara@meilin-law.jp 
・日系企業への法務サポート経験2年間、日本語・英語堪能

ホーチミン事務所代表弁護士
盛 一也(もり かずや)
k-mori@meilin-law.jp 
・税務支援経験3年間、日系企業への法務サーポート経験3年間、日本語・英語堪能
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