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【第2回】ベトナムとの貿易関係の紛争 裁判例・仲裁判決から考える

日系企業が注意する点
ベトナムとの取引ではどの法令や条約が適用されるのか、またその帰結を押さえておくことが重要です。いざ争いやトラブルとなったとき、泣き寝入りせざるを得ない状態だったということは避けなければなりません。

ベトナムへの販路拡大、ベトナム企業との取引はどんなルールで行われるのでしょうか?知らなかったでは済まないルールや、実際に争われた事例などを知っておく価値大ありです。

編集部
最近日本からベトナムへ販路拡大をしている企業が増えてきていますね。
弁護士
日本企業からすればベトナム企業とのかかわり方は、日本国内製品のシェアを海外に広げたいという場合と、ベトナムの安い原料価に惹かれて以前の中国のようなイメージで仕入れを行う場合とが目立ちます。
編集部
ベトナム企業との取引で気を付ける点はどんなところでしょうか。
弁護士
まずは、そもそも論ですが、文化背景やスタンダードの認識が異なる相手と商談を行っているという点を強く意識することです。例えば、割りばしといってもベトナム人が想像する割りばしとかなり品質に差があります。このような品質などに対する認識の差が生み出す紛争やトラブルというものは少なくないように思います。

次に、準拠法です。これはどこの法律を使って取引関係を処理していくかという話になります。日本企業にとっては当然日本法がなじみ深いのでできれば日本法を準拠法としたいという声が根強いように思います。そのほか、物品の売買などの場合には、ウィーン売買条約が適用されますから、この点も留意が必要です。

編集部
確かに、ベトナムの法律と聞くとどんなことが起きるのか不安になってしまいますね。
弁護士
ベトナムの法体系は日本と同じ制定法で、アメリカやイギリスのような判例の積み上げによりルールが出来上がっていく法文化ではありません。日本のように民法や商法があり、そこで取引を規律しているわけです。

そういう意味では少し親近感もあるかもしれません。現に、条文の共通性としては一定程度は認められるのではないかと思います。

弁護士
そういう意味では、大局的には同じような法文化があるのだということなのですが、細部には注意が必要です。例えば法定利息や遅延利息。日本では改正民法により3%がベースとされています。改正前でも5%、商事でも6%でした。

これが現在ベトナムでは何も決めていなければ10%となります。これは貿易取引のような大きな金額が動き得る取引では無視できない金額です。

編集部
確かにそうですね、逆にベトナムの法令の方が有利という日本企業もあるかもしれませんね。裁判などはいかがでしょうか。
弁護士
残念ながら、ベトナムの裁判制度は司法インフラとしてはまだまだ発展途上といえるかもしれません。手続の煩雑さや訴訟に要する年数、結論の透明性や予測可能性などを考えると、VIAC(ベトナム商事仲裁)などの仲裁機関の方が使い勝手の良いケースは多いように思われます。

また、準拠法と併せての大きな注意点なのですが、日本の裁判所の判決はベトナムで執行できず、ベトナムの裁判所の判決は日本で執行できません。仲裁はそのようなことがないので、これも仲裁のメリットといえると思います。

編集部
執行が出来ないとどうなるのでしょうか。
弁護士
契約書をみると、紛争が生じた場合には日本の東京地方裁判所で争うといった条項を置く例をたまに見かけますが、仮に東京でこちら側が訴訟を提起し、判決を得たとしても、相手方がベトナム企業ですから、日本国内に財産等がない場合、判決は絵に描いた餅のようなものになってしまうのです。
編集部
過去の仲裁例だとどんな例がありますか?
弁護士
冒頭の話になりますが、中国企業がベトナム企業と物品売買の取引を行いまして、中国が買い手になります。中国側は契約書に記載した仕様に実際に納品された製品が適合していないことなどを理由に商品の受け取り拒否をし、これを争ったものがあります。
弁護士
このケースでは、まず買い手は商品代金の支払時期を受領後に設定するなど工夫を凝らしていたのだろうと思います。海外取引の場合、ベトナム企業は前払いを要求することが多いと思いますが、粘り強く交渉することもあり得るところでしょう。また、契約書の中で商品の仕様を一定程度詳細に書いていたのだと思います。

「割りばし100個」のような記載の契約書では、粗雑な(ベトナムでは通常の)割りばしが納品された際に中々戦えませんから、サンプル品や商品スペックを数値で表すなどの工夫で、契約書に適合しない製品であることを浮き彫りにする必要があります。

編集部
これから発展していくベトナムはビジネスの大きなチャンスですから、日本企業にはうまくリスクコントロールをして是非ビジネスチャンスをつかんで欲しいですね。
弁護士
そうですね!ベトナム市場はこれからも大きく発展してく可能性を多分に含んだ市場です。win-winな関係を築いていければと思います。

ベトナム明倫国際法律事務所


弁護士・調停人 
ブイ・ホン・ズオン(DUONG)
duongbui@meilin-law.jp 
・日系企業への法務サポート経験約7年。日本語堪能
今回の執筆者

ベトナム常駐弁護士
原 智輝(はら ともき)
t-hara@meilin-law.jp 
・インハウスとして企業内での勤務経験有。日本語・英語堪能

ベトナム常駐弁護士
盛 一也(もり かずや)
k-mori@meilin-law.jp 
・京都大学総合人間学部 卒業、中央大学法科大学院 卒業、2015年12月弁護士登録、2016年1月税理士法人山田&パートナーズ入所、2018年11月弁護士法人Y&P法律事務所転籍、2020年1月明倫国際法律事務所入所。座右の銘は、兵は神速を尊ぶであり、常に迅速な役務提供を実践。専門分野は、国際関係取引/スタートアップ法務/各種契約書・規定整備/人事労務対応/商標等知的財産戦略。使用言語は、日本語、英語。趣味は筋トレとサウナ。
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