成果報酬型のベトナム人向けEコマース支援・代行サービス|詳細はこちら

【第1回】税務リスク回避には、行政上の手続や規制を熟知する必要あり!事例:ベトナムコカ・コーラ社の追徴課税

日系企業が注意する点
コンプライアンス組織を整備し、税務上の負担になるリスクのあるすべての取引の法務チェックを行いましょう。
行政手続違反が税務上も実質的に不利益に扱われ、「行政的な罰金」+「税務上の負担」という二重罰を受けることになります。

ベトナムコカ・コーラ(コカ・コーラ社)は、2017年3月から2019年12月までの税務調査を受けた。税務調査後、租税総局局長が下した罰則決定書により、罰金と追徴課税合わせて、8210億VND(約39億5000万円)を賦課した。これに対してベトナムコカ・コーラは、租税総局の局長に対して不服申し立てを行ったが、約一年経過後、2021年2月中旬、租税総局は、ベトナムコカ・コーラへの不服申し立てを否定するという結論を出した。

編集部
ベトナムのコカ・コーラに約40億円という多額の罰金および追徴課税が賦課されたんですね。
弁護士
そうなんです。調査の内容と結果について詳しくは以下の通りです。
調査内容と結果
・ベトナムコカ・コーラに対する税務調査に要した期間:2017年3月から2019年12月

・調査対象物等:2009年から2015年までの9年間の会計・税務書類

・罰金と追徴課税の総額:8214億VND(約39億5000万円)
 
→追徴課税額は約4711億VND(約22億6000万円)
 
→法人税=3590億VND(約17億3000万円)
 
→付加価値税=600億VND(約2億8800万円)
 
→納税遅延の罰則は約2886億VND(約13億9000万円) (⁂2019年12月16日までの計算)
 
→行政違反行為の罰則は約616億VND(約2億9800万円)



その結果、ベトナム租税総局は2002年から2006年以前に発生する赤字額の一部(約7620憶ドン、約38億1000万円に相当)を認めず、翌年に繰り越すことができないと判断した。また、控除である付加価値税の一部の金額(約728億ドン、約3640万円に相当)も認められないとした。

編集部
どうしてコカ・コーラ社は追徴課税を払うことになったのですか?
弁護士
「コカ・コーラ社が計上した販促品、販売店に提供する冷蔵庫、傘、椅子等、及び、会計上の証憑が提出できないその他の経費を認めない」ということになったんです。
編集部
販売店や販促店に提供する冷蔵庫なども損金不算入となるのは何でですか?
弁護士
コカ・コーラ社はプロモーション活動を頻繁に行っているのですが、プロモーション実施地の商工局への報告手続を行っていない場合が多かったんです。その為、プロモーション活動に使用する販促品やそれらに関連する各費用が妥当かどうか判断することができない。つまり損金不算入にするという結論になってしまったんです。
弁護士
また、コカ・コーラ社が販売店に提供する冷蔵庫や傘などの購入費用は、コカ・コーラの事業活動に関連しないと判断されました。コカ・コーラを購入するお客は販売店で購入するのであって、コカ・コーラ社から購入するわけではないため、コカ・コーラ社が販売店に提供する冷蔵庫などは同社の事業活動に関係しない費用であると判断されたようです。
編集部
厳しい判断ですね。コカ・コーラは、冷えていた方が販売増加を見込めるということは事実であるのに、販売店への冷蔵庫提供は事業に関係しないと判断されるんですね。
弁護士
そうなんです。コカ・コーラ社も同じように反論をしています。ただ、それだけでは、事業活動への必要性があるかどうか、どのように貢献するのかについて明確にならず、冷蔵庫等の提供についてコカ・コーラ社と販売店の法的な関係も不明であるという点も含め、コカ・コーラ社の反論は認められませんでした。
編集部
行政的な手続きの違反と税務については別の問題として取り扱われるのでは?
弁護士
本来はそうだと思うのですが、最近コカ・コーラ社の税務調査を含む複数の税務調査後の決定書により、損金に関するすべての条件を満たしていても、行政的な手続を行わないことにより、当該行政的な手続を行わない取引に関するすべての費用について損金算入を認めないと判断される傾向にあります。

例えば、会社が外国人労働者のためにワークパーミットを取得しなかったため、当該外国人に支払った報酬等を損金として認めない例なども起きています。ただ、この点について最終的な判断が至っていないため、コカ・コーラベトナムとしてもっと頑張って、法の支配の観点から強く反論すべきだと思います。

編集部
行政的な罰金を受けながら、税務上の負担も負わなければならないということですね。
弁護士
そうです。たとえ損金としての要件を満たしていても、行政手続き違反があることで、損金不算入になってしまうリスクを念頭においておく必要があります。

例えば、プロモーションに関しては、消費者の権利を保護するために事前に商工局に通知することが義務づけられています。また、外国人労働者のワークパーミットの取得は、外国人労働者を管理するために要求される手続です。

ベトナムでは、こういった行政手続きの義務を果たしていないことが、同時に税務リスクにもなり得るということです。

編集部
同じようなことが起きないようにするためにはどうしたらいいのでしょうか?
弁護士
コンプライアンスを徹底的に厳守する等が必要で、そのために行政上の手続や規制を熟知する必要があります。経理担当者がすべて法律や手続きを把握することは難しいので、事前にコンプライアンス体制を整備し、遵守すべき行政ルールを確認した上で、すべての取引の法務チェックを行う方が望ましいでしょう。

また、多くの企業では、会計部門と法務部とのコミュニケーションをとるのが難しい状況があります。その場合において、社外の専門家を入れて全体の整合性をチェックする方法もあり得ます。

ベトナム明倫国際法律事務所

本記事の執筆者

弁護士・調停人 
ブイ・ホン・ズオン(DUONG)
duongbui@meilin-law.jp 
・日経企業への法務サポート経験訳7年間。日本語堪能

ベトナム常駐弁護士
原 智輝(はら ともき)
t-hara@meilin-law.jp 
・インハウスとして企業内での勤務経験有。日本語・英語堪能

ベトナム常駐弁護士
盛 一也(もり かずや)
k-mori@meilin-law.jp 
・京都大学総合人間学部 卒業、中央大学法科大学院 卒業、2015年12月弁護士登録、2016年1月税理士法人山田&パートナーズ入所、2018年11月弁護士法人Y&P法律事務所転籍、2020年1月明倫国際法律事務所入所。座右の銘は、兵は神速を尊ぶであり、常に迅速な役務提供を実践。専門分野は、国際関係取引/スタートアップ法務/各種契約書・規定整備/人事労務対応/商標等知的財産戦略。使用言語は、日本語、英語。趣味は筋トレとサウナ。
ベトナム明倫国際法律事務所とは
ベトナム明倫国際法律事務所は、日本語が堪能なベトナム人弁護士・スタッフ及び日本人弁護士・スタッフのチーム対応により、法務からビジネス慣習、ベトナム子会社の組織作りやコンプライアンス体制構築など、幅広い業務に、迅速かつ専門的に対応しております。
ベトナムにおける日本人及びベトナム人コミュニティの広範なネットワークと、ビジネス法務のエキスパートによる豊富な経験・知識・ノウハウを生かし、ベトナムビジネスでのビジネススキームや経営戦略策定に至るまで、頼れるビジネスパートナーとして、皆様のベトナムでのご成功をお手伝いいたします。
ぜひ一度、当事務所サービスを、ご利用下さい。
【弊所パッケージサービス抜粋】⁂一般法務サービス・顧問サービス以外に以下のサービスをパッケージサービスとして提供しております。

  • ベトナムビジネスサポートサービス
  • ブリーフィングサービス
  • ベトナム入国支援サービス
  • 駐在者向ベトナム力アップ研修
  • 法務担当者育成プログラム
  • 知的財産戦略コンサルティング
  • 現地拠点の各種内部規程整備
  • コンプライアンス対策パッケージ
  • 税務調査対応
  • 債権管理サービス
  • 不祥事への対策パッケージ
  • 新規駐在員様向けサポートサービス
住所 ◎Hanoi Office
6th Floor, LYA Building, No. 24, Lane 12, Dao Tan Street,Cong Vi Ward,Hanoi, Vietnam
◎Ho Chi Minh Office
7F, PDD Building, 162 Pasteur Street, Ben Nghe Ward,District 1, Ho Chi Minh City, Vietnam.
Email secretary-vn@meilin-int.com
電話番号(hanoi) 024-3203-8968
電話番号(hcmc) 028-3535-7798
Youtube ベトナム法務 分かりやすく解説 チャネル
WEB https://vn.meilin-law.jp/(ベトナムオフィス)
https://www.meilin-law.jp/(日本本社)

カテゴリー