今知りたいベトナムのビジネス情報を無料で入手!詳細はこちら

【23歳起業家の挑戦】飲食店が直感的に見つかる新体験でベトナムから世界を目指す|Capichi 代表取締役CEO森大樹 氏

「エンジェル・シードラウンド(※)」の資金調達が完了
新世代のグルメ動画検索アプリがベトナムの若者を魅了!?

「心の国境のないワクワクした世界」をコンセプトに「飲食店検索×動画」のアプリを展開する『Capichi(キャピチー)』は、コロナ禍においてウェブデリバリーサービスをハノイで3日で立ち上げ、人気サービスへ急成長させています。その後もユーザー、飲食店の双方から支持を受け、12月よりホーチミン市への展開をスタート。現在、「グルメ動画検索アプリ」と「ウェブデリバリーサービス」の2つの事業を展開中。

(※)投資ラウンドは「投資家が企業に対して投資(出資)をする段階」のこと。投資ラウンドにはエンジェル、シード、シリーズA、B、C..などがあり、これらは企業の成長段階を意味する。


Capichi 代表取締役CEO 森大樹 氏
1997年生まれ、奈良県出身。2015年に神戸大学国際文化学部入学。大学では東北震災ボランティア団体の運営、ITベンチャー会社でマーケティング・新規事業立ち上げなどを行う。2017年10月より大学を休学して、ベトナム・ハノイのITベンチャーBEETSOFT社で営業・ITコンサルタントとして働く。2019年7月に株式会社Capichiを設立して代表取締役CEOに就任。

特に意識の高い人だったわけでもなく、住むなら日本最高と考えていた自分が、気づけばベトナムで学生起業することに…

“起業”や“ベトナム”との関わりは昔からあったのですか?

高校生までは起業するとか会社経営者になるといったことはまったく考えたことはなかったです。大学1年生のやりたいことがなくて迷っていたとき、ある先輩に「学生起業してみるのはどう?会社作ること自体は誰でもできるし楽しいと思うで!」と言われて、そのときが最初に起業を意識したタイミングです。実際に会社という箱を作ること自体は簡単でしたが「資金を用意することや運営を継続することがめちゃくちゃ大変やん!」と気づいたのは最近です(笑)

2015年、バックパッカーとしてインドネシアを訪問したとき

そして、大学3年のとき、企業インターンシップをしていたのですが、自分自身含めた社員や学生たち全員が同じ方向を向いて同じ世界しか見えていないように感じ、猛烈な違和感を覚えました。そこで、僕は自分の世界を持てるようになりたいと思うようになり、一度海外に住んで働いてみようと決意しました。バイト先にたくさんのベトナムの方がいて仲良くしていたこともあり、興味をもったベトナムでインターンシップをすることにしました。「裁量権のある仕事や自分にしかできないことをやりたい」と考え、最終的にハノイにあるベトナム人社長のNguyen Huu Linhさんが経営するIT企業でインターンをさせていただくことに決めました。

その会社はオフショア受託開発やAIサービスの開発・展開を行っています。当時の社員は50人ほどで日本人は僕一人、しかも営業は社長・副社長・僕の3人しかいなかったので、インターンシップというより即戦力として迎えてくれ、正社員のように働かせてくれました。

インターンシップの後に起業。どのような展開があったのですか?

インターンは2017年10月から始まり、当初は1年で帰国する予定でした。しかしベトナムでの生活や仕事に慣れてくるにつれて、ベトナムに愛着がわくと同時にその一年で目まぐるしく発展していく街の様子を見て「ここで挑戦したい」という思いが出てきました。

500ドルからスタートした給与も、10ヶ月くらいで1500ドルまで上がり、最初はベトナム人の家にホームステイさせてもらっていましたが、アパートに引っ越せるようになりました。家賃は200ドルでしたが(笑)

ベトナム人の家にホームステイしていたときの部屋

そういう自分に、Linh社長も「もし起業したいなら、うちで働きながらチャレンジしたらいいじゃないか。業務時間の40%を自分のプロダクトを作る時間に充ててもいいよ」と言ってくれ、大学休学中の身だったのですがその会社に正式に社員として入社しました。そのまま大学の休学を延長し続けており、現時点でもまだ大学を卒業できていません(笑)

2018年1月、ベトナム人の友人たちとサッカーの応援に

業務をこなしながら自分のプロダクトを作っていき、2019年7月、自分の会社を設立するに至りました。Linh社長は、自身も20代半ばで起業した先輩経営者ですので、当社の社外取締役となってもらい、経営者としてのアドバイスをもらうなど今でもずっとお世話になっています。

2019年8月、日本で資金調達をしていたときのピッチイベント(投資家に事業プレゼンをする場)

その後、資金調達のために一度日本に戻り、投資家やベンチャーキャピタルを回ることにしました。なんとか資金調達をすることができ、10月に再びベトナムに戻りました。

コロナ発生の中で新しい事業を立ち上げ。飲食店の”不便”を解決するためにウェブデリバリーサービスを構築

『Capichi』のサービスについて教えてください。

社名の「Capichi(キャピチー)」とは、掴むとか捉えるという意味の英語「Capture」からです。動画のサービスを提供しているので「感動をCaptureしよう」というスローガンなのですが、誰でも発音しやすくかわいい響きにしました。

プロダクト初期の2019年2月時点では、AIのレコメンドを活用して旅行で行きたい場所を見つけることができるアプリを開発していました。ところが、いざ使ってみるとあまり面白いと思えなくて(笑)試行錯誤するうちに、動画でお店や観光地を検索できるアプリに変更しました。ただ、誰もが継続して旅行に行くわけではないので単発でしか活用されないということがわかり、同年8月以降は飲食店に絞って「動画でお店を探せるアプリ」にシフトチェンジしました。そうすると段々とユーザー数や継続利用率が上がったのです。投資が入った以降は9000万人以上いるベトナム人にフォーカスしてサービスを展開するようになりました。

コロナが発生してからはどのようにしていましたか?

投資を受けて以降はハノイの各大学でイベントを開催したり、ローカルのお店に飛び込みで営業を廻りまくる日々。ベトナム人ユーザーの声を集めてサービスもどんどん改善していきました。徐々にユーザー数や登録店舗も増え、手応えを感じていたところにコロナが発生しました・・・。20年3月末には規制により飲食店が通常営業ができない事態となり、当社の事業も大きく影響を受けました。ちょうどその頃、あるパートナー店舗のオーナー様から相談を受けたのですが、日本人からのデリバリー注文にミスが多発するという内容でした。電話で注文を受けると住所や注文内容が伝わりにくいことが要因の一つでした。今自分たちにできことが飲食店の悩み解決になるのならと思い、ウェブ上で簡単にデリバリーの注文ができるシステムを開発することにしました。

日本語でも表示できるため分かりやすい。日本食やイタリアン、中華料理などの店舗へオーダーができる。

ロックダウンはそう長く続かないから、この事業をするならスピードが一番大事。そう考えて、エンジニア達と必要最低限の機能で利用できるシステム構築を一緒に考え、最短でリリースすることを目指しました。エンジニア達が寝ずに開発してくれたおかげで3日間でシステムを完成させることができ、すぐに飲食店へ紹介してサービスを展開していくことができました。飲食店にとって無料で使えて便利だったこと、ユーザーにとってもウェブで簡単に多くの日系のお店の料理が注文できることから、一気に多くの飲食店とユーザーに使っていただくことができました。

コロナの中で困っている飲食店のお役に立てればと、このシステムは最初は導入サポートも含め無料で使ってもらっていました。ありがたいことに、ベトナムでコロナが落ち着いた5月以降もこのシステムを継続して利用したいというニーズをいただきました。これだけ多くの方に使っていただけるなら、しっかりと収益が上がるようにして、その分もっとシステムを便利に改善していき、より多くの方に使っていただけるようにしたいと思い、現在はシステム導入は無料でオーダーに対する従量課金制とさせていただいています。

今までで大変だったことは?

学生で外国で起業したので苦労しただろうと言われますが、僕自身はベトナムでしか仕事をしたことがないので、ベトナムでの働き方や文化に関してはあまり違和感や苦労はありません。

ただ、メンバーのマネジメントについては気を使っています。10人くらいの時には直接全員を管理することを意識していましたが、20人規模になってからは各リーダーに基本は任せるようにしています。また、マネージャー層のミーティングは英語メインですが、メンバーとの普段の会話はベトナム語で話すようにしています。

ハノイ本社のエンジニアチームとマーケティングチーム

外国人としてベトナムで働き、ベトナム人の協力を得ながら、さらに大きな成果をあげるためには、彼らと本当の意味で分かり合わないといけないと思います。そのために彼らの母国語であるベトナム語でコミュニケーションを取ることは1つの有効な手段だと思っています。ベトナムで働き始めた頃から周囲にベトナム人しかおらず、彼らともっとコミュニケーションしたいと思って必死にベトナム語を勉強したことが今になって活きていると感じます。

社員たちと飲み会後のカフェタイム(2019年11月頃、ハノイにて)

メンバーとのコミュニケーションはそれほど大きな苦労だと感じないのですが、一番大変だったのは、ユーザー数や売上が伸びないときに事業をどうすればいいのか考えることや、資金調達に関することです。サービスが伸び悩み、お金がどんどん減っていくときは、本当に精神的にキツかったです。それでも会社のメンバー、周りの人が支えてくれたから何とかサービスを伸ばす道を必死に模索してこれたと思います。資金調達については、とにかく自分から発信し続けることを意識しました。話を聞いてくれたり、応援してくれる人はいても、実際に投資家を紹介してくれたり出資してくれる人はほんの一握りです。これに関しても、実は営業と同じで諦めずに”クロージング”を意識して全力でぶつかり続けることが大事だと思います。

2021年の目標や、その次の展開のイメージは?

まず、昨年まではハノイ中心で展開してきたウェブデリバリーサービスの『Capichiデリバリー』をホーチミン市にも広げていきます。ベトナム在住の日本人をはじめとした外国人で知らない人がいない状態、さらにベトナム人の中高所得層にまで広げていく計画です。

2020年6月、初の社員旅行を実施

以前は「ずっと日本に住んでいたい」と思っていた僕ですが、今は海外でいろいろなワクワクすることに挑戦し続けていきたいと思っていて、ベトナムでCapichi事業の”型”ができたら、インドネシアやフィリピン、タイといった他の東南アジア諸国、そして世界へとどんどん広げていきたいです。

ネットで日本語で簡単すぐにデリバリーの注文ができる
ハノイ、ホーチミンの人気飲食店のデリバリー・予約の『Capichi』
https://order.capichiapp.com

カテゴリー