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ベトナムでレストランが仕入れのすべてを完結できるプラットフォームを提供|サプライヤーネットワークを活用した一般家庭向けオンラインスーパーも開始「KameMart」

取材:2020年4月
ベトナムでスタートップ企業を創業したKAMEREO代表の田中氏に取材しました。


KAMEREO INTERNATIONAL PTE. LTD
代表 田中卓 氏

1989年生まれ。2018年、ベトナム初の飲食事業者向けのBtoB仕入れプラットフォーム事業を創業。University of Washington留学、慶応義塾大学卒業後、2012年4月、クレディスイス証券日本法人に入社。株式本部日本株営業部にて日系及び外資系機関投資家への株式営業に従事。いくつかの投資家のランキングでNo.1セールスになるも、以前から関わりたかったレストラン事業を海外の成長市場でしたいと考え、2014年10月にクレディスイスを退社。退社後は、2015年1月よりPizza 4P’sに参画。レストラン業務を経験した後、取締役COOとして、会計・ファイナンス部門、購買部門、HR/Admin部門の統括、ハノイ事務所及び店舗の立上げ、海外市場リサーチ等を実施。2017年12月にPizza 4P’sを退社後、2018年6月にKAMEREOを創業。KAMEREO(https://www.kamereo.vn/en)は、2018年12月にジェネシア・ベンチャーズ、Velocity Ventures Vietnamら日越のベンチャーキャピタルファンド2社から500,000USDの資金調達を行い、事業を展開中。

御社の業務とスタートアップの経緯についてお聞かせください。

ベトナムの日系レストランチェーンPizza 4P’sで働いていた時の経験がスタートアップのきっかけです。企業による経営が進んでいる日本の外食産業では、一社のサプライヤーのみから食材を仕入れることも多いですが、99%が中小のレストランで構成されているベトナムの外食産業では、食材ごとに発注先が分かれていて、日々の発注データも管理がされておらず、煩雑で非効率だと思っていました。

しかも、購買のチームや購買力がない中小のレストランは、生産者との間には3社程度の卸業者を入れざるを得ず、それによって価格も割高になってしまいます。こうした現状を見ていたことがベトナムの外食産業を対象とした仕入れのすべてをアプリで完結できるプラットフォームを作るベースとなりました。

システムのみを提供しているケースもあれば、それぞれのレストランの食材の需要を私たちが取りまとめて生産者に発注し、卸問屋からお店に流通させるケース、あるいは商品のデリバリーまでフルフィルメントサービスを行うケースもあります。こうしたサービスによって中間のプロセスを少なくし、なおかつ発注データも管理できる仕組みとなっています。

現在の社内の人員構成や役割分担などは?

メンバーたちとの食事会の一コマ

スタート時は私とCTOの二人でしたが、今では30人です。プロダクトサイドはエンジニアとデザイナーで6人、セールスが5人、カスタマーサポートが4〜5人。そのほかはマーケティング、HR、会計といったアドミニストレーション。フルフィルメントやデリバリーなどを担当する倉庫のオペレーションチームにも同じくらいの人員配置をしています。

ほとんどのスタッフはベトナム人で、人材募集はLinkedinがメインですが、紹介を頼むことも多いです。優秀な人の友だちはやはり優秀なので、優秀な社員に友だちを紹介してもらったり、撤退するスタートアップのHRダイレクターに頼んだこともあります。

利用しているお店の状況は?

現在、1000店ほどのレストランがアプリに登録し、サービスが利用されています。弊社でフルフィルメントサービスを提供している商品数は約800アイテムです。お客さんはアプリまたはウェブサイトを使って自分で発注することができます。

売れ筋は、キャベツや玉葱といった一般的な料理に使われる野菜で、一部輸入物もありますが、多くはベトナムの国産です。逆に肉や魚は、アメリカやオーストラリア、日本などからの輸入が多いですね。

顧客からの反応はどうですか?

このアプリを導入することで、新しいサプライヤーとの取引を始めることができたこと、それにより仕入れコストが下がったということ、また発注データが管理されることで、今まで無意識に行っていたオーダーの状況が客観的に分析できるようになったというフィードバックをいただいています。

また、サプライヤーからも新規の取引先が増えて売り上げが倍増したことや、今までレストランからの注文が煩雑だったためにミスが起こりやすかったのが、受注のフォーマットが統一されたことによって改善されたという声をもらっています。

お客さんからのフィードバックは日々分析し、それを元に開発チームがプライオリティをつけてアプリやウェブサイトの更新を行います。

今後3年くらいかけて解決していく課題については、それをどのように資金調達し、チームを作っていくかを考えています。

ベトナムの外食産業の現状と今後の展望は?

急成長するベトナムの飲食産業

ベトナムはもともと外食が多い国です。いろんな調査でも例えば飲食費が東南アジアの中ではシンガポールに次いで高かったり、人口1000人あたりの飲食店の数も日本と同じくらいだったりします。人口の面でも経済成長の点でもこれから外食産業が成長していくのは間違いありませんし、それに付随してサプライヤー、ディベロッパーといった周辺の業種も伸びるでしょう。

先ほど言ったように、現状では家族経営を中心とした中小のレストランがほとんどですが、外食産業に向けての投資も増えているので、今後はチェーンレストランも徐々に増えて行くでしょう。傾向としては、売り上げの上昇以上に不動産賃料の高騰化が進んでいることで、店舗を持たずに営業するデリバリーの業態が増えています。また、中小のレストランであってもITへの対応はむしろ日本よりも進んでいると言えるでしょう。

田中さんから見たベトナムのスタートアップ事情とは?

経済成長著しいベトナムのホーチミン市

東南アジアでは、ユニコーンを多数出しているインドネシアの次として、ベトナムのスタートアップに注目している投資家も多いようです。

現実にベトナムでは、スタートアップの数もプレーヤーも流入するお金も増え、また、Grabなどの成功したスタートアップ企業がアクセラレータとして支援するなど、起業家にとって資金調達の面だけでなく、さまざまな面で環境が良くなっているのは間違いありません。

御社が想定されているゴールとはどんなイメージでしょうか?

私たちのプラットフォームが多くの飲食店で使われることでベトナムの外食産業のインフラになっていくことです。システムの開発・機能改善、自社でのサプライ事業を進めていった暁には、システム上に流れているデータを使ってペイメントやファイナンスまで、ワンストップでサービスを提供していきたいです。日本の外食産業におけるインフォマートさんのポジションをベトナムで取ることが目標ですね。

スタートアップから今までで苦労したことは何ですか?

個人宅向けに開発したオンラインスーパー「KameMart」

アイデアベースで始めたので、サービスを開始した当時はプロダクトも弱く、お客さんからのフィードバックも厳しいものでした。その結果、初期は多くのチームメンバーが辞めたりしたこともありましたが、それはまぁ普通のことです(笑)。

2020年現在、コロナパンデミックについても、今後どのような影響を受けるのか誰もわからないなかで、できる対応はしていかなければなりません。例えば、セールスを上げるコントロールはできませんが、コストを下げていくことは可能です。

また、今あるリソースの中でセグメントを広げる努力や、違うリソースを使ってマーケットサイズを広げる試みなども重要です。

野菜、肉、魚、調味料などフードサプライヤーへ直接注文が可能。

例えば当社では、今までのレストラン・小売店向けのサービスに加えて、一般家庭を対象としたサービス”KameMart”を始めました。飲食店が日々使っている食材と同じものが家庭からも手頃に注文ができる為、非常にご好評頂いております。まだ、ローンチをして数ヶ月ですが、ユーザー数も順調に伸びており、これを少しずつ広げることで逆にチャンスとしていきたいと思っています。

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