ベトナムの不動産を「運用」する|運用のコツや税金

ベトナム不動産の運用

不動産を購入したら、入居者を探してそこに居住して家賃を得るという「運用」の方法について検討する必要があります。資産を最大限に活かすにはどうしたら良いでしょうか?

借主をいかに探すか

物件を貸したいオーナーは通常、不動産仲介会社を通じて借主の募集を図るのが一般的です。一方、住宅物件を借りたい駐在員などは、不動産仲介会社が公開しているウェブサイト、あるいはベトナム国内で出版されている日本語のフリーペーパーなどに掲載されている情報を介して物件を検索しています。

ベトナムへの不動産投資を行う日本人の大半は、日系の仲介会社を通じて物件を購入していることでしょう。物件の運用に関しても、こうした仲介会社を経由して借主探しを委ねると良いでしょう。

一般的な物件の間取り

一般的な物件の間取りは、「リビングルーム(居間、応接間に当たる)」「キッチン」それと「ベッドルーム(寝室)」があって、そこに「トイレ付きのバスルーム」が付いています。

「ステュディオ(Studio)」は、リビング、キッチン、ベッドルームが大きめの一部屋に作られているものですが、日本の一般的な単身者用ワンルームよりは面積は大きいです。

「●●ベッドルーム(●●BR)」などと記載のあるものは通常、リビング、キッチンが一緒または仕切り付きでできており、それと別にベッドルームが付いているという仕様です。「1ベッドルーム」なら1ユニット内に寝室1つ、「2ベッドルーム」なら寝室2つとなります。2ベッドルーム以上ある物件では、寝室にバスルームが付いていることもあります。

なお、ベトナムにある物件の場合、かなり豪華なユニットでもバスルームにシャワーしかないという仕様になっていることがあります。日本人の習慣で「たとえ小さくてもお風呂(バスタブ)が欲しい」という居住者の要望が強い傾向があります。したがって、日本人目当てに貸す、あるいは将来的に売却するという考えがあるなら、バスタブ付きユニットの方が好ましいかもしれません。

ロケーションごとの家賃相場

ハノイとホーチミン市にある外国人に注目されている物件を賃料例として紹介します(2019年秋現在)。以下の賃料はすべて税別で記載しました。ただし、家賃相場は需給関係によって変動します。詳しくは仲介業者にお尋ねください。

借主との賃貸契約

ベトナムで賃貸契約を結ぶに当たっては、現地の習慣や事情に沿った形で手続きを進めたり書類の準備を行わなければなりません。仲介会社の説明を聞きながら手続きを進めましょう。

契約や手続きの注意点

仮に日本人オーナーが日本人の借主と契約を結ぶ場合でも公的な手続きを行う為には、「ベトナム語による賃貸借契約書」でのやり取りが必要となリます。

ベトナムの契約書は「ベトナム語+英語」で作成されるのが一般的です。ベトナム語版が優位となり、外国語版はあくまで参考、といった記述が一般的になされています。日系の仲介会社であればこうした言語の問題はあらかじめ解決できますが、もし地場会社での契約を行う場合は、自社のベトナム人スタッフとともに内容の確認を行ったほうがよいでしょう。

なお、契約時に借主のパスポートだけでなく、ベトナム在住が可能なビザを持っているかどうか、銀行口座の有無などを尋ねられるケースもあります。法人名義で借りる場合、借主が所属する法人の法的代表者の署名と捺印などを行うことになります。

家賃の設定

不動産を購入して賃貸収入で運用するときに家賃は大変重要です。同じプロジェクト内の他の家賃相場や同等の内装レベルの部屋の家賃設定などを参考に値付けをしましょう。また、税金も考慮した家賃設定をすることも大切です。

事例

1BR 50?のコンドミニアムで家賃800ドル、管理費30ドル
※VATと管理費を家賃に含む設定の場合

家賃 800米ドル
VAT5% -40米ドル
所得税5% -40米ドル
管理費 -30米ドル
最終インカム 690米ドル

家賃収入の受け取り

家賃収入はベトナムに個人口座を開設し、ベトナムドン建てで受け取ることが一般的になっています。日系不動産仲介会社の多くは「物件の借主が支払う家賃の入金状況の確認」を行ったうえで、「借主に対するタックスインボイス(公的領収書)の発行」「物件所有者に代行し、納税義務を実施する」といったサービスを行っています。仲介業者にどういった業務を委託するか(委託できるか)はあらかじめ相談する必要があるでしょう。

家賃の海外送金のフロー

家賃はベトナム国内に開設した銀行で受け取ります。その後、納税を済ませ、納税証明書や不動産購入の契約書などをもって銀行で申請すると海外送金することができます。これまで数千万円想定の金額でも家賃収入や売却益をベトナム国外へ送金できた実績はあるようです。(2019年12月現在)

物件の管理費

平米単価で0.5~0.8ドルほどです。100?の部屋の場合、月の管理費は50ドル~80ドルが目安となります。

契約時に借主から預かるお金デポジット

物件を貸す際は借主から「デポジット(保証金)」を預けてもらう必要があります。デポジットは通常1~2カ月分となっています。

このデポジットは契約終了の際、修理が必要な箇所がなければ、貸主に全額返金することになっています(退去前の最終家賃と相殺を希望する貸主もいます)。退去の際に、大きなダメージなどがないかどうかよく確かめた上で返却するようにすべきでしょう。

なお、入居と退去の際に「部屋の現状」を仲介業者の立会いのもとでチェックすれば、備品の有無やダメージ箇所の確認でのトラブルを最小限に抑えられることでしょう。また、借主が定められた契約期間に達しないまま退去を申し出た場合は、デポジットは没収するという契約を結ぶのが慣習となっています。

デポジットや家賃の支払ターム例

デポジット

  • ハノイでは1カ月分のケースが多い
  • ホーチミン市は2カ月分のケースが多い

前払い家賃

◯個人

  • ハノイでは3カ月ごとのケースが多い
  • ホーチミン市では1カ月ごとのケースが多い

◯法人向け

  • ハノイでは3カ月ごと
  • ホーチミン市では2~3カ月ごと(サービスアパートメントは例外)

契約時に決めておくこと

  1. 家賃の支払い方法
  2. 借主との間で2カ月目以降の賃貸料の送金方法について相談しておきましょう。銀行の振込先、支払い通貨(通常はベトナムドン建て)、毎月の振込日などを取り決めます。

  3. 光熱費の費用負担
  4. サービスアパートメントの場合、光熱費が家賃に含まれているケースがほとんどですが、コンドミニアムやアパートメントの場合、借主が実費を支払うケースが多くなります。電力、水道、ガス、インターネットなどの契約先や支払い方法も確認する必要があります。

  5. 備品破損や故障時の責任の所在
  6. 住宅の修繕費用はもとより、電化製品に不具合が生じた際の費用をどちらが持つかも決めておくべきでしょう。その他、電球の交換をはじめとする細かい修繕についてもどちらの負担なのか事前に確認を行っていた方が良いでしょう。

  7. その他、家賃以外にかかる
  8. ジムやプールといった付帯設備に対する費用が必要な場合は、どちらの負担とするか事前に確認を行っていた方が良いでしょう。

  9. 賃貸借契約の終了について
  10. 1年ごとに契約更新が行われ、その際に家賃の見直しも図る方法を取るのが一般的です。ベトナムは経済成長も速いですが、それにつれてインフレ率も日本よりも伸びが激しいです。一般的な物価上昇分の値上げは年ごとに必要と考えるべきです。また、ドル建て(あるいは円建て)で賃料の目安を決めている場合は、為替の上下も検討材料となります。現状は1年ごとに賃料を見直すという設定が一般的になります。

  11. 急な退去に応じる際のルール
  12. 例えば当初契約の1年を過ぎた後に、急に転勤や帰国が求めて来ることがあらかじめ想定される場合は、ペナルティーの支払い(デポジットの没収など)を避けるための方策を話し合っておくとよいでしょう。

  13. オーナー側都合での退去の補償
  14. オーナー(貸主)が「他の物件を買いたいので、保有物件を売りたい」などの理由で、契約途中で退去を求めたいことがあるかもしれません。そうした際に、デポジットや支払い済家賃をどう返金するかどうかといった問題を契約書に盛り込むかどうかも検討が必要になります。

貸主の責務

賃貸を行う物件オーナーの責務として、納税の義務や賃貸利用の目的の通知などの手続きが必要となります。利益の海外送金を順調に行うためにも確実に進めておきたいものです。

賃貸時の当局への届け出

外国人が所有する住宅を賃貸する場合、賃貸借契約の締結前に区レベルの住宅管理機関に対して、物件所有者の氏名、物件の住所、賃貸期間、賃貸物件の利用目的を通知し、土地使用権・資産所有権証明書(ピンクブック)のコピーを提出する必要があります。

また、賃貸契約が終了する際にも該当機関への通知を行う必要があります。なお、区レベルの住宅管理機関では、上記の賃貸の情報を税務機関と共有することで、個人所得税等の納付漏れがないような取り扱いがなされています。

規定によると、賃貸の際には前述のように住宅管理機関へピンクブックのコピーを提出して通知を行うことが必要とされています。しかし、現状ではピンクブックの取得には時間を要しています。この点、ピンクブックの発行前に当該建物を賃貸することができるのか、また、どのように賃貸するのかについては、法令上明確にされていません。

賃貸する場合の納税の必要性

住宅法では、外国人が住宅を賃貸する場合、法令に基づいて納税を行わなければならないことが明記されています。納税の際に注意すべき点として、当然ながらベトナム法に沿った形で適正に税納付を行うことが第一ですが、次に、外国送金との関係での注意が必要です。

ベトナムでは、国内で得た利益を外国へ送金する場合、利益に対する税金を適切が納められているかどうかを証明する必要があります。したがって、適切に納税を行っていない場合は、せっかくベトナムで利益を得ても外国に送金できないことがありえます。

もし、送金時に適切に納税していないと判明した場合、その時点で申告納税したとしても多額の延滞金や罰金が課せられます。そのため、現地で賃貸を始める時から適切に納税しておくことが重要です。そうした追徴が求められた場合、投資の意義が損なわれますから注意が必要です。

なお、申告・納税手続きは、通常、ベトナム国内で行うことになります。したがって、非居住者による諸手続きについては、ベトナムにある現地の会計事務所などに申告代行を依頼しましょう。日本人スタッフのいる会計事務所もあります。

個人所得税(PIT)の課税

ベトナムでは賃貸を行う場合、賃料収入が個人所得税(PIT)の課税対象となります。もっとも、資産賃貸に関する全ての契約から得られる収入が月額840万ベトナムドン以下、もしくは年額1億ベトナムドン以下であれば、個人所得税の納税対象とはなりません。2019年末現在、賃貸収入に対する個人所得税率は5%です。

なお、ベトナムで外国人個人が賃貸を行う場合には、日本とは異なり、不動産の減価償却や専門家費用の損金化(経費として計上)などができないため、実際の個人所得税が高くなり、実質利回りが下がりますので注意が必要です。

付加価値税(VAT)

付加価値税(VAT)の税率は個人所得税と同じく5%です。資産賃貸に関する全ての契約から得られる収入が840万ベトナムドン以下、もしくは年額1億ベトナムドン以下であれば、付加価値税の納税対象とはなりません。

土地税(非農地使用税)

建物が建っている土地について、政府が決めた数値に基づいて土地価額を算出し、その0.03%の金額が土地税として課されます。

固定資産税

2019年12月現在、コンドミニアムに対して固定資産税はありません。

営業登録税

賃貸業の営業登録税として、年に1回、以下の金額を納める必要があります。なお、賃貸業の開始が下半期からとなる場合には、当該年度の納税額は下記金額の半額となります。

◯賃料収入が年間で5億ドンを超える場合:100万ドン
◯賃料収入が3~5億ドンの場合:50万ドン
◯賃料収入が1~3億ドンの場合:30万ドン

非居住者と居住者で異なる税務処理

非居住者の場合

日本を税務上の本拠(住民登録を置いて、普段は日本に住んでいる)を置いている場合、ベトナムからみると「非居住者」と判断されます。ベトナムや日本以外の国に住んでいる場合も同じ取り扱いです。

この場合、あるベトナム非居住者が保有する不動産は、賃料収入に対し一律で「個人所得税5%+付加価値税5%」の計10%が課税されます。個人所得税率は5%にとどまりますが、3カ月ごとに申告納税をしなければならない規則ですので、現地の不動産仲介会社とも相談し、ベトナム内の会計士などの調整が必要となります。

また、日本居住者として日本国内でも所得税の納付が必要となりますので、日本での税務処理も必須です。なお、日本で不動産取得した場合に認められる経費が一部、日本側での税務申告の際に認められる可能性があります。海外不動産の経費をどういった形で認めるかは税務署でも判断が分かれるようです。海外不動産の投資関連に詳しい税理士の意見を聞くのが望ましいでしょう。

居住者の場合

ベトナムに駐在中、あるいは別の事業を行っているなどの理由で「ベトナムの居住者」となっている場合は課税の条件が異なります。

居住者の場合、何らかの形で個人所得税を納めているはずですが、これに加えて賃貸所得税を支払います。ベトナムでは賃料収入は「給与所得以外の課税所得」とされます。なお、賃料所得税率5%+VAT5%で合計10%です。

借主・貸主の負担するもの

借主

消耗品・電気代・水道代・ガス代・インターネット代・管理費

貸主

設備故障時の修理・家具の設置

※一般的な例です。オーナーや物件によって異なることもあるため、仲介エージェントに確認しましょう。

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